国立研究開発法人理化学研究所 革新知能統合研究センターと共同で研究開発した成果が、国際学会「CLeaR 2022」にて発表
多変数データを用いた新しい因果探索技術の研究開発に、両備システムズも2020年より参画
国立研究開発法人理化学研究所 革新知能統合研究センターの共同研究グループは、「多変数データを用いた非線形因果探索技術」の研究開発(以下、本研究開発)を行いました。本研究に関する論文は、統計的因果推論のトップ研究者を中心に初めて開催された初めての国際会議「CLeaR(Causal Learning and Reasoning)2022」にて発表されました。
両備システムズでは、機械学習などAIの技術を用いた新たなサービスの提供やデジタル化の推進により、更なる顧客サービス・利便性の向上に取り組んでおり、本研究開発に共同研究グループの一員として、当社社員 神林貴之(カンバヤシ・タカユキ)が2020年より参画いたしましたのでお知らせいたします。
本研究開発について(国立研究開発法人理化学研究所 プレスリリース※より引用)
(1)成果
“本研究成果は、現実の問題が持つ非線形性を前提として、多変数データから因果関係を見つけ出すことで、科学的発見やビジネス課題解決に貢献すると期待できます。”
(2)背景
“昨今、さまざまな現象の間の順序を表す「因果」を明らかにする試みが盛んに行われています。例えば、病気に対する治療と症状改善の因果関係や企業の経営施策と業績の因果関係を明らかにすることで、効果的な治療方針の策定、適切な経営施策の選択が期待されます。
一般的に因果関係を実験的に解明することは、時に倫理的・コスト的観点から実現困難である場合が多いため、過去の観測データからその背後にある因果関係を推定する試みである「因果探索」の研究が進められています。しかし、従来の因果探索技術では、推定対象の因果関係を線形と想定する制約があり、複雑な現実の問題への適用において障壁となっていました。
共同研究グループは2017年度よりこの課題解決に取り組んでおり、2020年に非線形関係を前提に2変数間の因果関係を推定する手法を提案しました注1)。この手法では信号処理や深層学習(ディープラーニング)の知見を取り入れることで、小規模な実問題において良好な推定精度を実現しています。しかしその一方で、より大規模な問題へ適用のためには2変数ではなく、より多数の変数間の因果関係を明らかにする必要があり、さらなる技術開発が求められていました。
注1)K. Uemura and S. Shimizu. Estimation of post-nonlinear causal models using autoencoding structure. ICASSP 2020, pages 3312-3316, 2020. ”
(3)今後の期待
“本研究は、自然現象やビジネス活動の根底にある因果メカニズムについて、仮説検証的な分析ではなく、観察データから全体の因果構造を推定しようとする試みです。自然現象やビジネス活動は、多くの要因が複雑に絡み合って結果がもたらされるものであり、その因果関係を見いだすことができれば、思いもよらない科学的発見や大きなビジネス価値を得られるものと期待できます。
今回の新技術はその端緒となるものであり、今後、実問題を使った検証と改善を進めることで因果探索技術の社会実装を目指します。”
※上記(1)~(3)引用元:
理化学研究所.”多変数データを用いた非線形因果探索技術の開発-科学的発見やビジネス課題解決に期待-”.理化学研究所. 2022-04-26.
https://www.riken.jp/press/2022/20220426_4/index.html, (閲覧日2022-06-03)
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